不妊治療

 

不妊症の検査

妊娠が成立するためには、精子と卵子がいくつかの難関を乗り越えていかなければなりません。
そのステップはどれも大切なもので、1つでも不具合があるとうまく妊娠しないことがあります。

不妊症の検査は、妊娠成立までの過程の間のどこに原因があるのかを見定めてうまく妊娠に導くための検査です。
特に女性は月経周期に合わせていろいろな検査が必要になるので、検査が終わるまでに数か月かかることがあります。
妊娠を妨げている原因が判明次第、患者さまの意思を尊重しながら最適な治療方法を検討します。

体調や精神的ストレスも検査に影響を及ぼします。
当院では、安心して治療に専念していただくために、体と心にやさしい検査・治療を心掛けています。

不安や質問がありましたらお気軽に医師、看護師、スタッフにご相談ください。

妊娠のプロセス

  • ①卵巣はウズラの卵ほどの大きさで左右に2個あり卵子を排卵する臓器です。         卵巣内部にある卵胞はホルモンの働きで発育し、各月経周期に一度卵子を
    排出します→排卵
  • ②射精された精子は、膣、子宮をくぐり抜け自力で卵管まで泳ぎます。
    1度に何百万の精子が放出されますが、卵管に到達できるのは
    そのうちたった100個程です。
  • ③卵子は卵管采に取り込まれた後(pick up)、卵管に送られ、
    膣から子宮を通って進入してきた精子と卵管で出会い受精します。
  • ④受精した卵子(受精卵)は卵管を移動し、子宮内膜に潜り込み(着床)妊娠が成立します。このプロセスのどこかに障害があると妊娠しにくくなります。

不妊の主な原因

男性の主な原因

1、性機能障害
・勃起不全
・射精不全
などがあります。
2、精路通過障害
・精液が外に出ない
などがあります。
3、造精機能障害
・無精子症
・乏精子症
・精子無力症
・染色体異常
・奇形精子症
・精索静脈瘤
などがあります。

女性の主な原因

1、子宮着床障害
・先天性子宮奇形
・子宮筋腫
・子宮内膜ポリープ
・黄体機能不全
などがあります。
2、卵管障害
・卵管閉塞
・卵管狭窄
・卵管采周囲癒着
・卵管采の卵子 pick up 障害
などがあります。
3、排卵障害
・FSH分泌低下(下垂体性無月経)
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
・高プロラクチン血症
・早発卵巣不全
などがあります。
4、子宮内膜症
・チョコレート嚢腫
などがあります。
5、子宮頸管の精子通過障害
・抗精子抗体
・頸管粘液の量が少ない
などがあります。

不妊症検査

1、問診

まず問診です。身体の状態を把握し、今後の治療方針についての話をします。疑問に思ったこと、希望があれば積極的に医師、看護師にお伝えください、納得して今後の治療や検査を受けましょう。

2、基礎体温

排卵の有無や排卵日の予測に有効な検査です。
朝、目が覚めたらすぐに横になったまま基礎体温計で体温を計ってください。低温期の最終日と血液検査(ホルモン値)や超音波検査などを組み合わせて排卵日を推定します。

3、血液検査(ホルモン測定)

女性のホルモンは、卵胞期・排卵期・黄体期などの月経周期によって変化します。そこで各時期にあわせて採血をします。
女性の体内で分泌される各種ホルモンは排卵や妊娠に大きく影響しており、排卵や着床に問題がないか、排卵時期の予測などの判断材料になります。

4、超音波検査

不妊治療ではとてもポピュラーで不可欠な検査です。
超音波を発信するプローブという器具膣の中に入れて子宮や卵巣に異常がないかを調べる検査です。卵胞の成熟状態や排卵の有無・排卵時期を知ることもできます。

5、ヒューナーテスト(性交後試験)

精子と頸管粘液(おりもの)の相性をみる検査で、男性の協力が必要です。精子の有無と動きを確認する検査です。精子が受精可能な場所まで移動できるかを判定します。場合によっては複数回行います。

6、精液検査

精子の状態を見る男性側の検査です。
3~4日禁欲した後にマスターベーションによって専用の容器に精液を取って、その状態を顕微鏡で確認する検査です。

7、X線子宮卵管造影検査

細い管を膣に挿入して造影剤を注入した後にレントゲンの撮影をします。より詳しく子宮や卵管の状態を確認することができます。

<クラミジアについて>

クラミジアは、現在最も流行している性行為感染症の一つで、原因はコンドームの未使用です。若い女性の20人に1人が罹っているとも言われていますが、大半は無症状のため感染に気付かず治療の機会を逃しています。

クラミジアを放っておくと、おりものが増加したり(子宮頸管炎)、癒着の原因になったりします。進行すると、卵管炎、PID(骨盤内炎症性疾患)、肝周囲炎など慢性的な下腹部痛となります。さらに放置すると、不妊の原因となります、妊娠しても子宮外妊娠や流早産の原因になります。

治療の方法

治療の方法1  タイミング療法

検査をして異常が見つからなければタイミング療法をします。              タイミング療法とは排卵日を予測して性交を行ってもらう一番自然な療法です。性交後に一度ヒューナーテストを行います。

排卵日を予測する方法

・基礎体温表
過去の傾向から大まかな排卵日を予想します。低温~高温への移行期に排卵していると考えられています。
・卵胞の大きさを超音波で確認
卵胞の直径が20mmを超えると排卵が近いと言われています。補助的に血中卵胞ホルモンを測定し卵胞1個あたり200~300pg/mLぐらいの値になっていれば成熟していると判断できます。
・おりもの(子宮頸管粘液)が増える
排卵が近くなると卵胞ホルモンの働きによりおりものが増えます。おりものは精子が膣に侵入するのを助ける役割があります。

治療の方法2  人工授精

排卵のタイミングに合わせて精子を子宮内に送り込み自然な妊娠を期待する方法です。
人工授精が適応するのは、
①排卵があること
②卵管が通っていることが条件です。
精液検査に若干の問題がある方、性生活が十分に持てない方、ヒューナーテストの結果抗精子抗体が陰性だった方が対象となります。
人工授精の目的は、子宮腔内に精子を注入することにより精子の泳ぐ距離を短くすることができる事と卵子の周囲により多くの精子を到達させることです。

精子を子宮腔内に入れた以降は妊娠が成立するまでの経過は自然妊娠と変わりません。

人工授精が人工的なのは精子を子宮腔内に入れるまでの事です。
成績ですが、人工授精で妊娠された方のほとんどは3回目ほどです。

5,6回以上での妊娠は極めて少なくなります、年齢等を考慮し早めのステップアップが必要となることがあります。

~人工授精の流れ~

①排卵日の予測:タイミング療法と同じです。
必要な人には排卵誘発剤を使用します。
②精子の採取:排卵日に合わせてパートナーの方に精子をクリニックで採るか自宅で採るかして頂きます。
事前に凍結保存をしておくという方法もありますのでご相談ください。
③元気な精子を選ぶ:精子はそのまま注入するのではなく、
密度匂配法と呼ばれる方法で洗浄、濃縮します。これは雑菌を取り除き元気な精子だけを確保する方法です。
④子宮内に精子を入れる:専用の細い管を用いて精子を子宮のなかに注入します。

治療の方法3  体外受精・顕微授精

体外受精は、卵子を採取し体外で精子と受精させ一定期間培養した後に子宮へ戻して妊娠を目指す治療方法です。

<受精の方法は2種類あります>
①卵子に精子を振りかける方法
②1個の卵子に1個の精子を直接刺して入れる方法
体外受精・顕微授精、体外受精説明会については、こちらにさらに詳しく説明がございます。

体外受精・顕微授精の対象

①体外受精(C-IVF)の対象
・排卵に問題がある
・卵管の通りが悪い
・精子の数、運動精子の数に問題はあるが、精液調整後の精子の数運動精子の数に大きな問題がない
・抗精子抗体がある
②顕微授精の対象
・精子の数、運動精子が極端に少ない
・無精子症
・体外受精で受精しなかった

※必ず同意書を提出してください。

<生理1~3日目>
採血
排卵誘発剤
<生理7~9日目>
・診察(エコー)
※採血する場合があります
※必要があれば追加の排卵誘発剤を処方します
<生理12~15日目>
・採血
・診察(エコー)
※この診察で採卵日を決定できたら、採卵日の説明とスプレキュアの説明をいたします。
<決まった採卵日の32~36時間前>
看護師からご説明いたしますので、時間厳守でスプレキュアを点鼻してください。
※スプレキュア点鼻薬は卵子の最終成熟と排卵刺激のための点鼻薬です。スプレキュアを点鼻することで排卵の時間をコントロールできますので、看護師からの指示に従ってスプレキュアを使用ください。
※注射をする場合もあります。
採取のお薬は様々な種類があるため、詳細は体外受精を計画時に決定します。
<採卵当日の午前中>
来院後、受付に声をかけて頂き、お着替えをしていただきます。
ご自宅で精子を採取された方は受付にお渡しください。
処置室で血圧、体温を測定し点滴を始めます。
準備完了後、徒歩で採卵室へ向かい、採卵します。(採卵後に止血処置をする場合があります)
採卵後、処置室にご案内します。30分~1時間程度安静にしていただく場合があります。(お手洗いや飲食を希望の方はスタッフにお声かけください)
処置室にてお着替えします。
診察室にて医師、培養士よりご説明をいたします。
<採卵日、昼頃>
精子の調整をして正午頃に受精(媒精)させます。
精液の所見により顕微授精を検討いたします。
<採卵日、夕方~>
採卵当日夕方、または翌朝に受精の有無の確認をいたします。
受精を確認後、培養を行います。
電話にて受精の有無をご報告いたします、指定時間に当院まで電話連絡をお願いいたします。
外来にて受精の結果報告、後期培養等の今後の方針を検討します。
<妊娠判定>
胚移植から12日前後に、外来にて妊娠判定を行います。