PRP療法について

<PRP(多血小板血漿)療法とは?>

血小板の中には、サイトカイン注1や成長因子などの組織修復を促進する生理活性物質注2が含まれおり、それらが損傷部位に直接働きかけて細胞増殖を促進し、修復機能を高め、自然治癒力によってケガや病気を治療します。

例えば
身体のどこかを切った時、しばらくして傷がふさがり、カサブタが出来て、やがて元通りに治った経験があると思います。
これは血液中の血小板から傷んだ組織の修復を促進する物質が供給され、傷んだ組織を元通りに直そうとしているからです。

PRP療法は、まず自分の血液を約20㏄採血して、血小板が多く含まれる部分を抽出、自己PRPを作成します。
この自己PRPを自分の身体の傷んだ部分に注入することにより、傷んだ部分の修復が促進されることを期待する治療法です。

PRP療法は、本人の細胞であり、既に細胞の分化注3が終了して別の組織になることがない血液中の血球成分を培養することなく
そのまま使うため、安全性の高い再生治療だと言われています。

注1 サイトカイン:細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。
注2 生理活性物質:生体の生理活動何らかの作用もたらす物質
注3 分化:ここでは「細胞分化」を指す、単一あるいは同一であった細胞が様々な種類の細胞になる事を言います。

 

<不妊症分野におけるPRP治療>

血小板に含まれた成長因子は、子宮内膜環境の改善を促すことが報告されています。
血小板は、出血を止める作用の他に、細胞の成長をうながす物質や免疫にかかわる物質を含むため、PRP療法により子宮内膜が
十分に厚くなることが期待できます。

これにより、受精卵が着床しやすくなる可能性が高くなると考えられています。

 

<対象者>

18歳以上の女性
体外受精、顕微授精、凍結融解胚移植の治療において良好胚の複数回移植に関わらず妊娠に至らなかった方

 

<臨床研究>

2018年1月~2019年1月、山王病院他7施設で臨床研究が行われました。
対象者:不妊治療中の女性患者20歳~50歳、子宮内膜7mm以下PRP投与により子宮内膜の厚さの改善効果が認められ、
32例中5件(15.6%)の臨床妊娠率が得られました。

PRPを用いた子宮内腔投与に置いて有害事象は認められませんでした。

 

<実施臨床>

2019年3月14日に山王病院でPRPの自由診療が開始されました。
6月末日までに28名29症例にPRPが投与され、2例がキャンセル、27例で胚移植が施行されました。
予後調査できた23症例中6例(26.1%)に化学妊娠が確認されました。

 

<再生医療について>

PRP不妊治療は特定認定再生医療等委員会の第2種に該当します。
再生医療を提供しようとする医療機関は、認定再生医療等委員会の意見を聴いた上で「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」
に基づき、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に届け出る義務があります。

PRP不妊治療(自由診療)が東海北陸厚生局に受理され、PRPの自由診療が可能となりました。受理 (受理年月日:2020-04-07)