重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前診断(PGT-M)

着床前遺伝学的検査(PGT-M)について

PGT-M検査は、お子さんが重篤な遺伝性疾患をもって生まれてくる可能性のあるご夫婦を対象に、単一遺伝子異常の原因となる遺伝子変化の有無を調べる検査です。

全国のPGT-M承認実施施設一覧はこちらをご覧ください

PGT-Mについて日本産科婦人科学会が動画を作成しております。
動画「着床前遺伝学的検査(PGT-M)をお考えのご夫婦に」


PGT-Mの対象

PGT-Mを希望する夫婦の両者またはいずれかが、重篤な遺伝性疾患児が出生する可能性のある遺伝子変異または染色体異常を保因する場合。

これまでにPGT-Mが承認された遺伝性疾患 (日産婦誌 2017)
(1999-2015、総数120例)

【神経筋疾患 93例】
・デュシャンヌ型筋ジストロフィー
・筋強直性ジストロフィー
・副腎白質ジストロフィー
・Leigh型症
・福山型筋ジストロフィー
・脊髄性筋萎縮症
・Pelizeus-Merzbacher
・先天性ミオパチー(myotubular  myopathr)

【骨結合識皮膚疾患 5例】
・骨形成不全症Ⅱ型

・成熟型遅延骨異形成症
・拘束性皮膚障害(restrivtive dermopathy)

【代謝性疾患 6例】
・オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症

・PDHC欠損症(高乳酸高ピルビン酸血症)
・Lesch-Nyhan症候群

・5.10-Methylenetetrahydrofolate  reductase欠損症
・ムコ多糖症Ⅱ型(ハンター症候群)
・グルタル酸尿症Ⅱ

【染色体異常】
・重篤な遺伝性疾患児出産の可能性のある染色体

【奇形症候群】

【その他2例】
・X連鎖性遺伝水頭症

2015年以降の遺伝カウンセリング 自験例(1例)
・常染色体劣性多発性嚢胞腎

上記は、これまでに日本でおこなわれた着床前遺伝学的検査(PGT-M)の対象疾患を示します。

期間は1999年~2015年の120例の内訳になりますが、PGT-Mについては、事例毎に日本産科婦人科学会へ申請・承認を受ける必要があります。

神経筋疾患がおよそ78%で、その多くはデュシャンヌ型筋ジストロフィーと筋強直性ジストロフィーです。

また、報告以降に上記以外で承認後、PGT-Mにより出産された常染色体劣性多発性嚢胞腎の遺伝カウンセリングを行った方が自験例でおられます。

このように少しずつPGT-Mの適応が広がってきていますので、家族内に遺伝性疾患の方がおられ、子どもへの継承を避ける選択肢の1つとしてお考えの場合は、ご相談いただきたいと思います。


着床前診断(PGT-M)の申請と承認の流れ

STEP1
PGT-M実施認定施設の担当医からの説明と動画の視聴

STEP2
PGT-M実施認定施設の臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング及びPGT-M実施施設と利害関係の無い第三者の遺伝カウンセリング

STEP3
PGT-M実施施設の担当医によるPGT-M申請書の日本産科婦人科学会への提出、日本産婦人科学会での審査・承認
(審査所要時間:3~6ヶ月)

STEP4
PGT-M実施施設の倫理委員会での最終審査・承認

STEP5
体外受精および胚生検による遺伝学的検査、非罹患胚の移植

STEP6
治療結果の学会登録


Q&A

Q1:STEP1~4までの期間はどれくらいかかりますか?
A:3ヶ月~6ヶ月での承認を目指しています。

Q2:保険は適用されますか?
A:PGT-Mは排卵誘発~採卵~体外受精~胚の遺伝学的検査~移植までの全てが自費治療になります。

Q3:PGT-Aと同時にできますか?
A:PGT-Mの実施が承認されたご夫婦がPGT-Aの内容に合致した不妊症あるいは不育症の状況の場合には、同時に行うことが可能です。
ただしPGT-M/PGT-A/PGT-SRの施設認可を受けた施設においての実施が必要です。
当院はPGT-M/PGT-A/PGT-SR全ての施設認定を受けておりますので、条件が合致した場合は同時に実施することが可能です。