新型コロナワクチンウイルス(mRNAワクチン)Q&A

新型コロナウイルスワクチンについて、三学会(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会)から合同のお知らせがありますhttp://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210617_COVID19.pdf
新型コロナワクチンウイルス(mRNAワクチン)Q&A が書面で来ておりますので、こちらに書いておきます。

Q1 ワクチンで不妊になることはありますか?これから妊娠を考えているのですが、mRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A1 新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)で不妊になるという科学的な根拠は全くありません。

~解説~
既存のワクチンでも、接種によって不妊になった例はありません。mRNAワクチンを接種した後に、その成分が体内でどのように拡散するか調べるために、放射性同位元素でラベルしたmRNAワクチンをラットに接種した実験では、接種したワクチンはほとんど卵巣には到達しません(全体の0.095%以下)。
摂取したワクチンの多くは接種した局所に留まり、接種部位外では肝臓に多く集まりました(接種した量の約18%)
ラットにmRNAワクチンを接種した後に交配し、妊娠させた実験でも、ワクチンの摂取群と非摂取群で妊娠率、赤ちゃんの数に差はありませんでした。
またヒトでもワクチンの臨床試験中に妊娠した方や、着床前にワクチンを接種して問題なく妊娠を継続した方もいらっしゃいます。

Q2 妊娠中の女性はmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか? 流産することはありますか?

A2 妊娠中の女性でもmRNAワクチンを接種しても大丈夫です。すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに流産などの何らかの重篤な合併症を発生したとする報告もありません。

~解説~
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に後期の感染ではわずかですが重症化しやすいとされています。一般に、このワクチンを接種することのメリットが、デメリットを上回ると考えられていますので、特に感染の多い地域や感染のリスクの高い医療従事者や糖尿病、高血圧、気管支ぜんそくなど基礎疾患を合併している方は是非接種をご検討ください。
アメリカで新型コロナウイルスワクチンの接種した後に妊娠を完了した827人のデータによると、流産、早産、胎児の発育遅延、先天奇形、新生児死亡が起きる確率は、ワクチンを接種していない妊婦さんと変わりませんでした。イギリスからもワクチンを接種した妊婦さんと接種していない妊婦さんの流産率は変わらないとの報告があります。

Q3 不妊治療中ですがワクチンを接種できますか?

A3 不妊治療中の方も接種できます。接種後は発熱などの副反応があることがありますので、可能であれば妊娠前の接種をご検討ください。

Q4 妊娠のいつの時期に接種したほうが良いのでしょうか?

A4 いつの時期でも接種可能です。心配な方は器官形成期(妊娠12週まで)を避けることをお勧めしていますが、現時点で明らかなワクチンによる催奇形性(胎児に奇形が起きること)の報告はありません。
また、地域の選考状況にもよりますので主治医にご相談ください。

 

Q5 妊娠中にワクチンを接種して、熱が出たらどうしたらいいですか?

A5 アセトアミノフェン(カロナールなど)を服用して構いません。その他の解熱鎮痛剤は服用を避けたほうが良いものもありますので、主治医にご相談ください。

 

Q6 出産等でmRNAワクチンの接種間隔が伸びてしまいそうです、大丈夫でしょうか?

A6 接種間隔が伸びても問題ありません。

~解説~
新型コロナウイルスワクチンは3週間(ファイザー社)もしくは4週間(モデルナ社)の間隔をあけて2回接種することになっています。
しかし、出産などで、接種間隔が止むを得ずあいてしまう事もあります。
接種が可能になりましたら、なるべく早く2回目の接種を受けてください。なお、標準の接種間隔を超えた場合の効果は十分に検証されていませんが、WHO、米国やEUの一部では、接種間隔が伸びてしまった場合でも、1回目から6週間以内に2回目の接種をすることを目安として示しています。

Q7 妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある場合でも、接種しても大丈夫でしょうか?

A7 患者さんにより合併症の状況が異なりますので、事前に産婦人科の主治医にご相談ください。一般的に合併症があると、COVID-19が重症化するリスクが高くなります。
したがって、可能であれば接種することをご検討ください。

Q8 妊娠中にmRNAワクチンを接種すると赤ちゃんに免疫が移行しますか?

A8 抗体が胎盤を通って赤ちゃんに移行するので産後に赤ちゃんを感染から守る効果が期待できます。

 

Q9 授乳中の女性はmRNAワクチンを接種できますか?ワクチンを接種したらミルク(人工乳)に変更したほうが良いですか?母乳から赤ちゃんに免疫が移行しますか?

Q9 接種できます。mRNAワクチンを接種したことを理由にミルクに変更する必要はありません。mRNAワクチンは母乳中に分泌されませんが、抗体が母乳中に分泌されるので、赤ちゃんを感染から守る効果が期待できます。

~解説~
84人の授乳中のお母さんのmRNAワクチン接種後の母乳を調べた研究では、1回目の接種の2週間後には61.8%、2回目の接種の1週間後では86.1%の母乳中に抗体が検出されました。

Q10 mRNAワクチンが女性の健康に長期的な影響を与える可能性はありますか?

A10 投与されたmRNAワクチンは短期的に分解され、接種されたヒトの遺伝子に入ることは無いので長期的な影響はないと考えられています。

 

Q11 生理中にmRNAワクチンを接種しても良いでしょうか?

A11 問題ありません。生理痛に対し痛み止めの薬を飲んでいる方は、mRNAワクチン接種後の痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を飲む場合には同じような内容の薬を飲むことになりますので薬の量が過剰にならないように気をつけてください。

Q12 mRNAワクチンで月経不順や経血量が増えることはありますか?

A12 mRNAワクチンが直接的に月経(生理)に影響を与えることはありません。副反応のストレスや、発熱などがあった場合、その影響で月経がずれたり、量が変化したりすることがあるかもしれません。

 

Q13 経口避妊薬を飲んでいてもmRNAワクチンを打つことができますか?

A13 ワクチンを打つことができます。mRNAワクチンにより血栓ができるとの報告はありません。心配な場合には主治医とご相談ください。

 

Q14 ワクチン接種者に近寄ると感染すると聞きました。これは本当ですか?

A14 本当ではありません。ワクチンにはウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)の一部のみが含まれていますので、感染力のあるウイルスが接種者から放出される事はありません。

 

Q15 ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃すると聞きました。これは本当ですか?

A15 本当ではありません。ワクチンの成分や接種後にできる抗体が胎盤を攻撃することはありません