男性不妊外来

 

男性不妊の受診について

当クリニックでは、男性不妊症の専門医による専門外来を設けております。
毎月 第2土曜日 09:30~11:00(完全予約制)
担当 増田 裕 医師(医学博士)日本生殖医療専門医

1993年、大阪医科大学卒業
大阪医科大学大学院医学研究科博士課程に入学、泌尿器科専門医取得。
枚方市民病院泌尿器科副部長。
藍野病院泌尿器科部長。
2012年、生殖医療専門医を取得。
増田医師は日本で数少ない、生殖医療専門医と泌尿器科専門医の両方を持つ男性不妊のエキスパートです。

WHO(世界保健機関)が発表した不妊症の原因の男女比によると

41% 女性だけが原因
24% 男性だけが原因
24% 男女ともに原因
11% 不明

となっております。
男女ともに原因を含めると48%が男性に原因があるということになります。

男性不妊の原因で最も多いもの

1、乏精子症
精子の数が極端に少ない状態の事です。
乏精子症の原因は、
①精索静脈瘤
②造精機能障害
③原因不明
などが挙げられます。
2、無精子症
精液の中に精子が見当たらない状態の事です。
無精子症の主な原因は、
①造精機能障害
②精巣上体炎
③鼠径ヘルニア手術
④先天性精管欠損
⑤染色体異常 クラインフェルター症候群
などが挙げられます。
無精子症という名前ですと精子が全く無いように思えますが、
無精子症と診断された方でも精巣内にはわずかに精子が存在する方がいらっしゃいます。
下記の精子回収術(C-TESE、micro-TESE)で精子を採取し顕微授精することができます。
3、精子無力症
精子の動きが悪く元気がない状態です。
精子無力症の主な原因は、
①先天的な異常
②前立腺の異常
③精巣の炎症
などが挙げられます。
不妊の原因の約半数は男性に原因がありますが
顕微授精(ICSI)の技術進歩により一変しました。ICSIについての詳しい説明はこちら
<精子回収術>
①Conventional TESE(精巣精子回収術)
②micro-TESE(顕微鏡下精巣精子回収術) C-TESE、micro-TESEについての詳細はこちらへ
micro-TESEは、施術できる病院と医師が非常に数少なく限られています。
当クリニックでは、静岡済生会総合病院泌尿器科(静岡市)と連携し、
増田医師がC-TESE、micro-TESEを執刀致します。
手術当日は、当クリニックからも培養士が手術に立ち会いその場で精巣の組織を検査致します。
精巣の組織をクリニックまで持ち帰り、凍結保存し、その後顕微授精を行います。

治療の流れ

最初に精液検査をして頂きます。
問題がございましたら、男性外来(毎月第2土曜日)へのご予約をお願いいたします。

初診

・エコー検査
精索静脈瘤、精巣の大きさなどを調べます。
・採血
男性ホルモンの採血をします。
・AZF検査、染色体の検査の説明
各検査について説明をいたしますので、再診時に検査をされるかどうかお伝えください。
AZF検査については下記をご覧ください。
以上で初診は終わります。

再診

採血の結果をお知らせ致し、以降の治療方針をお話しします。

<精索静脈瘤だった場合>
手術の希望をお伺い致します。
静岡済生会総合病院(静岡市)、または大阪の畷生会病院の紹介状をお渡しします。

精索静脈瘤とは

  • 1、精巣から流出した細かな静脈(つる状静脈叢)は次第に合流して内精索静脈となります。
    この内精索静脈を血流が逆流して、つる状静脈叢に血液がうっ滞したのが精索静脈瘤です。
    精索静脈瘤は男性不妊の原因になると一般的に考えられています。
    また、精索静脈瘤は健康には影響しませんが陰嚢の不快感や痛みをきたすことがあります。
    簡潔に言いますと、
    精巣やその上の精索部に静脈瘤(静脈の拡張)があることです。
    男性不妊患者の40%以上に認められます。
    精巣の周りに静脈瘤があることで、本来なら体温より2度ほど低くなっていた精巣が静脈瘤によって
    0.5度くらい温度上昇し、精子の運動率が下がったり濃度が下がったりする状態です。
  • 2、手術・検査の目的、必要性や有効性
    精索静脈瘤が男性不妊症の原因になると考えられている理由は、精索静脈瘤が男性不妊症の
    患者様に多い事、精索静脈瘤の手術をすると精子の数や運動率が良くなって子供を授かる方がいらっしゃるからです。
    手術後、約半数の患者様で精子濃度または運動率の改善が見られ、手術後1~2年の妊娠率は約30%です。
  • 3、手術・検査の内容と注意点
    先に述べましたように内精索静脈の血液が逆流するのが精索静脈瘤の原因ですから、
    この内精索静脈を糸で縛った上で切り、逆流しないようにするのがこの手術の原理です。
    精巣から血液が流れ出なくなるが大丈夫かと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが
    精巣から血液が流れ出ていく血管は他にもありますので問題はありません。
    精索静脈瘤手術には血管を鼠径管より上で切断する高位結紮術と鼠径管より下で切断する低位結紮術があります。
  • ・手術後
    手術後は経過観察のため増田先生に受診をお願いします。
    その後、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月で精液検査を行います。

C-TESE、micro-TESEについて

無精子症で精子の採取が不可能な時に対応する手術です。

C-TESE
精子を作る能力がある程度保たれていれば精巣を少し切開し精子を採取できます。
micro-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)
精子を作る能力に問題がある場合、精巣内ほぼ全体を顕微鏡で観察し精子のありそうな精細管を探します。
40%ほどの方で精子を見つけることができます。
当クリニックの培養士が立ち会い、その場で組織を検査します。
組織をクリニックに持ち帰り精子を採取後は冷凍保存し、その後ICSI(顕微授精)を行います。
TESEの流れ
①精液検査の結果、無精子症と診断された。
②男性不妊外来を受診していただきます。
③診察後、紹介状をお出しします、受診方法と手術についての説明をします。
④C-TESE、micro-TESEを施行し精子を採取出来たら凍結保存。
⑤卵子を採取し、融解した精子と顕微授精を行います。
⑥培養後に胚移植を行います。

AZF検査について

AZF検査(Y染色体微小欠失分析)
AZF領域は、AZFa,AZFb,AZFcの3領域から構成されており、本検査ではすべての領域を対象としています。
本検査の分析結果は男性不妊の原因究明の一助となるだけでなく、その後の治療方針を考える上で重要な情報となります。

本検査によるAZF領域の欠失の有無及びその部位の特定は、無精子症の方から精子が採取できるかどうかの判断材料に
なりうると欧米では考えられています。

検査の限界
本検査では、AZF領域以外のY染色体微小欠失を検出することはできません。
AZF領域の欠失はY染色体微小欠失の94%であり、残りの6%がAZF領域以外の欠質です。

本検査にてAZF領域の微小欠質が検出されない場合の治療法は、現時点では精巣内精子再手術

(TESE)および顕微授精(ICSI)であることに変わりはありません。

簡潔に言いますと、

AZFという遺伝子が無精子症に関係していることがわかりました。

AZFという遺伝子は、本来 AZFa、AZFb、AZFc という3つの部分で構成されています。

この3つの部分が欠けていないか?正常か?を調べる検査です。

仮に男性の性染色体の一部が欠けているという場合
94%がAZF遺伝子の一部が欠けている
6%がそれ以外の遺伝子の一部が欠けているという比率になります。

このAZF検査は、AZFの一部が欠けているかどうかを調べることはできますが、
上記の6%の部分、「それ以外の遺伝子が欠けているのか?」を現状では調べることはできません。