2024年(1月~12月)の当院の臨床成績
【2024年の治療成績について】
生殖治療成績は胎嚢が見えた妊娠例(臨床妊娠)で記載することが世界的なルールです。
すなわち、hCG陽性で胎嚢が見えない化学妊娠は含みません。
そのため、当クリニックでは化学妊娠を除いた臨床妊娠で報告しています。
【Ⅰ.2024年生殖補助医療(ART)の成績】

採卵は162人の患者さんに行い、周期数は273周期でした。
分割胚凍結は8周期、胚盤胞凍結は174周期行いました。
胚移植は181名の患者さんに行い、周期数は259周期でした。
12周期が凍結分割胚移植、247周期が凍結胚盤胞移植でした。
胚移植の成績は臨床妊娠が130周期、妊娠率50.2%でした。
流産は24周期(18.5%)、多胎は3周期(2.9%)でした。
日本の凍結胚移植の全国平均(2022年)は臨床妊娠率が37.8%ですので当院の移植成績は全国平均よりも良好な成績となっております。
(図4、日本産科婦人科学会、日本産科婦人科学会、2024年8月30日
https://www.jsog.or.jp/medical/641/)
表1.女性採卵時年齢ごとの臨床成績

女性年齢別の体外受精-胚移植成績を見ると、臨床妊娠者の平均年齢は34.5歳、非妊娠者は37.6歳と妊娠者で年齢が低い結果となりました。
採卵時の年齢が
29歳以下では臨床妊娠率が77.8%、流産率が14.8%
30-34歳では臨床妊娠率が64.1%、流産率が12.0%
35-39歳では臨床妊娠率が46.9%、流産率が23.9%
40歳以上では臨床妊娠率が30.8%、流産率が25.0%でした。
このように採卵時の年齢が上昇するにつれて妊娠率の低下と流産率の上昇が見られました。
以上のデータから、可能な限り早く生殖医療を行うことの大切さがわかります。
Ⅱ.2024年一般不妊治療(タイミング・人工授精)の成績
ⅡーⅠ.一般不妊治療における妊娠成績
一般不妊治療は176人、567周期行いました。
臨床妊娠は56人で平均年齢32.8歳でした。
一方で妊娠に至らなかった患者さんは128人で平均年齢は34.4歳でした。

表2.一般不妊治療における女性年齢別の臨床妊娠率(2024)

年齢別に一般不妊治療の成績を見てみますと年齢が進むにつれて妊娠成績が低下していきます
このことから一般不妊治療において若い年齢での治療が有効な事が示されました。
Ⅱ-Ⅱ.一般不妊治療における治療方法別の成績

図2はタイミングもしくは人工授精(AIH)の方法別の成績になります。
表3.治療別の臨床妊娠率(2024)

タイミング法を行った人数は163人(平均年齢34.1歳)460周期で妊娠率は10.2%でした。
人工授精(AIH)を行った人数は35人(平均年齢35.4歳)107周期で妊娠率は8.4%でした。