コロナ禍で不安を抱えている不妊患者様へ (日本生殖心理学会よりの提言)

本提言は、当クリニックの市民公開講座でも2度講演いただいています日本生殖心理学会副理事 平山 史朗先生が中心になって作成したものです。


日本生殖心理学会 パンデミック対処委員会よりの提言: 3
コロナ禍で不安を抱えている不妊患者様へ

こんなことになるなんて、誰も予想していなかったことでしょう。
そして、事態が深刻になるにつれ、「自分にできること」はあまりなく、「自分ではどうしようもないこと」に翻弄されることが増え、今後に不安が出てくるのは当然のことです。

今の日本の状況は、デマや不確かな情報が多く飛び交い、メディアやSNSは深刻さだけを煽り、触れたくなくてもそれらに振り回されます。また、「見えない」ものへの不安は疑心暗鬼を生み、不信感が高まります。密を避けるために人とはかかわってはいけないこと、逆に家庭では常に家族がそばにいて一人の時間を持つことも難しい、人との距離感やつきあいも困難になるでしょう。

さて、ここまで書いて気づかれた方がいらっしゃるでしょうか?
そうです。この状況、実はこれまで皆さんが経験してきた不妊の方を取り囲む状況と似ていませんか?
今回の新型コロナ感染症流行による変化は、不妊では他人事でいられた ( よくないことですが ) 国民 ( というか世界 ) 全体が、「当事者」としてこのわけのわからない状況を体験しているわけです。

このように考えると、理不尽な不妊状況を生き抜いてきた皆さんには、現在の状況への対処という点においてはアドバンテージがあるとも言えるかもしれません。実際、コロナ感染症への心理学的な対処は、不妊への対処ととても似ている部分があります ( もちろん異なることもたくさんあるでしょうが )。 情報との付き合い方、人間関係の保ち方 ( 別れ方 )、ストレスマネジメント…
不妊のときに経験してきたさまざまな対処法略が今回も役に立つ可能性があります。もしこれまで自分にとって「役に立った」ストレス対処法があれば、試してみましょう。

新型コロナ感染症の心配事に対処するコツ

    1. 不確実な情報に踊らされない

さまざまな情報が飛び交いますが、情報はすぐにうのみにせず、それが「一次情報」であるかをまず確かめましょう。一次情報とはその発言者自身の体験や知識から直接発信された情報のこと。「~によると」というネットなどの又聞きの情報は一次情報までさかのぼって調べましょう。また、それが一次情報であるときにも、その根拠は何か、反論はないかも合わせて調べたうえで採用するかどうか判断しましょう。

    1. 一つだけの正解を求めない

いまはだれにもほんとうの正解はわかりません。私たちは安心のために「ただ一つの正解」を信じたいクセがありますが、それだけに頼って突き進んでしまうと間違ってしまいがちです。一つだけでなく、幅広い選択肢を持つ柔軟性を大切にしたいものです。そして何を信じてよいかわからなくなったら、情報から距離を取ることもとても大事なこと。不安な人は情報が増えるほどかえって不安が強まってしまうので、テレビやネットの情報を遮断して、自分の時間をとりましょう。

    1. 「一人でいること」と「つながること」の両方を大切に

外出自粛のため、常に夫婦や家族がいっしょにいる、いなければならない日々が続きます。これは家族の親密さを作ることができる代わりに、「一人でいる」ことを難しくします。社会的距離は家族の中でもときに必要で、そうしないと互いの関係が悪化しかねません。それぞれが自分だけの時間や空間を確保することはメンタルヘルスにとても大事なのです。また、一人だけの時間とみんなと一緒の時間の心地よいバランスは人によって異なります。自分の時間、相手の時間、一緒の時間、それぞれを尊重して自宅での時間を過ごせるようにしましょう。

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いながきレディースクリニック