複数胚移植の危険性について

 

胚は原則として単一

胚移植する際の移植する胚の個数については

日本産婦人科学会が「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」として、2008年の会告にて

生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。

ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する。

治療を受ける夫婦に対しては、移植しない胚を後の治療周期で利用するために凍結保存する技術のあることを、

必ず提示しなければならない。」としています。

 

多胎妊娠のリスク

この会告では、多胎妊娠のリスクの予防を喚起しています。

人間は基本的に単胎(1産で1人の児)であり、複数の胎児のいる多胎妊娠は、ある意味正常な妊娠とは異なるとも言えます。

多胎妊娠のリスクは、母体への影響として流産や妊娠高血圧症候群が起きやすくなり、胎児への影響として早産や低体重、

未熟児での出産などの可能性が考えられます。

 

妊娠できる確率は同じ

複数の胚を移植したほうが妊娠できる確率が高くなると考えがちですが、

36歳以下の人のデータでは、

新鮮胚と凍結融解胚の単一胚移植と2胚移植とで

生産分娩率に差がないことが示されています(N Engl J Med 2004 ; 351 : 2392―2402)。

 

胚のステージ

胚の移植は、初期胚と胚盤胞の2種類のステージがあります。

初期胚では胚盤胞への到達を正確に予測できないために、複数移植することでその妊娠率を向上させようとしています。

一方、胚盤胞においては、胚盤胞への培養期間により胚のクオリティを選別しているため、初期胚の移植に比べ、妊娠率が高いと言われています。

そのため、移植する胚を一つに限定することで多胎妊娠を予防しています。

また、凍結した胚盤胞は、一つの胚の移植でも多胎妊娠が極めてわずかに増加すると報告されており、このことからも胚盤胞の移植数は一つにするのが好ましいと考えられます。